電動コーヒーミルの種類と選び方を解説します。メリット・デメリットなど。
豆を粉にする機械の話。
こんにちは、CoarsePaper管理人のほりー(@CoarsePaper)です。僕がコーヒーを趣味にした時に買い揃えたモノの中に、手動のミルがありました。
お湯沸かしてる間にゴリゴリやるのは楽しいんですが、毎日やるとなると徐々に辛くなってくるものです。そんな時に欲しくなるのが「電動ミル」。
でもいざ買うとなると結構種類があるんですよね。もうどう選んだら良いのかわからないです。僕も数日アマゾンにかじりついた記憶があります。
そんなわけで、以前の僕と同様に初めて電動ミルを買う方、あるいは電動ミルの買い替えを考えている方向けに、電動ミルの種類とそれぞれが持つ特徴、メリット・デメリットなどを解説していこうと思います。
製品ごとに微妙に異なるので、方式の名称が業界内で統一されていないのが難しいところですが、観測範囲内での名称で紹介させてもらいます。
プロペラ式
挽く仕組み
一般にプロペラ式と呼ばれる電動ミルは、内部で回転する薄い金属板によってコーヒー豆を粉砕することで挽くことになります。
厳密にはプロペラ式には二種類あって、回転する金属板が刃になっているものとなっていないものがあります。刃になっていたほうが微粉が少なくなるようです。
粒度はどちらも回転させる時間の長さで調節します。
メリット
サイズが小さいので収納が楽ちんです。持ち運びもできると思います。
構造が単純なのでメンテナンスもそんなに苦にならないのも魅力です。とにかく手軽。
あとは他のタイプの電動ミルに比べて非常に安価です。
デメリット
粒度のばらつきが大きいです。雑味や渋みの原因になる微粉もかなり出ます。
また、前回と同じ粒度で挽きたいと思ってもなかなか調節が難しいというのもデメリットの1つです。
こういう人が買うべき
・たまにしか使わない
・手挽きは嫌だがお金をかけずに楽したい
管理人所感
正直あまりおすすめしません。手挽きだと後ほど紹介するコニカル式相当の挽き目の安定感がありますし、手挽き→プロペラ式・カッター式だとコーヒーが美味しくなくなる可能性があります。
少なくとも買うのであれば回転する金属板が刃になっているものを購入しましょう。
コニカル式・コーン式
挽く仕組み
内側の歯が回転して豆を引き込み、外側の歯と合わせてすり潰します。
粒度は内側と外側の歯の間隔を調節することで決めます。手動のミルに同じ機構が採用されているイメージです。
メリット
粒度が比較的安定しています。手挽きから切り替える際にはギャップが無くて良いかもしれません。
エスプレッソで使うような極細挽きに対応しています。
家庭用を買うなら結構コスパというか、スペックも価格もそこそこでバランスが良いです。
デメリット
粗挽きはあまり得意ではないです。フレンチプレスとかは厳しいでしょうね。
あとはミル内部に残る豆・粉の量が多いです。同時にメンテナンスも若干手間がかかります。
残留する豆とか粉の量が多いということは欲しい量だけ挽くのが難しいということになります。大抵はタイマーで挽く量を調整します。
こういう人が買うべき
・エスプレッソを淹れる人
・1台目の電動ミルで失敗したくない・コスパの良いものが欲しい人
管理人所感
このタイプの家庭用は価格的にも性能的にもバランスが取れているように思います。
エスプレッソを本気で淹れたい人はMAZZERとかMAHLKONIGとかそういう業務用のを買うことになりますが、こちらは10万20万は当たり前のものなので例外です。
にしてもエスプレッソって粉が細かいだけにメンテが大変なんですよね。バイトでMAZZERいじっていた事があるのですが、あらゆる所に粉が入り込むのでエスプレッソを家で入れる人は根性あるなあと思います。
臼式
挽く仕組み
コニカル式と似てますが上下で2枚の平たい歯を組み合わせて挽く方式です。文字通り臼のようにすりつぶします。
歯の間隔を調整することで粒度を調整します。
メリット
粗挽き〜中挽きは粒度が揃いやすいです。その割に値段は控えめなので1台目にはうってつけかもしれません。
デメリット
細挽きには不向きです。エスプレッソは淹れられないでしょう。
歯に粉が詰まりやすく、定期的な掃除は必須です。
こういう人が買うべき
・フレンチプレスを淹れる人
・電動ミルは初めてだという人であまり大げさなのは買いたくない人
管理人所感
こちらのタイプもコニカル式と同様かなり人気がある印象があります。
コストパフォーマンスに優れていて、そこそこの投資でしっかり電動の恩恵を受けられると思います。
グラインド式

挽く仕組み
2枚のゴツゴツした円盤の片方を回転させて中央から外側に向かって砕いていく方式です。
ゴツゴツには傾斜がついていて、円盤同士の距離を調節することで粒度を調整します。
メリット
粒度が安定しています。通常の臼式とは円盤の大きさが段違いで大きくなっているのが起因しています。
そしてこれが一番大きいメリットだと思いますが静かです。これも円盤の大きさが大きいため、多段階ですりつぶすことができるので一気に負荷をかけなくても良くなるからです。
使った印象としては挽く速度もみるっこに関してはかなり速いです。
デメリット
豆にかかる力が大きく、熱を持ちやすいというデメリットは有名です。極力酸化や劣化を抑えるというのが美味しいコーヒーを淹れる上で重要なので、家庭用であまり多くの豆を一気に挽いたりすると良くないかもしれません。
逆に少量であれば問題ないと思います。業務用の巨大なミルなんかは歯が重く、熱容量が大きいので数百グラムなら問題無いです。
一番大きな弱点は値段が高いということでしょう。なかなか値崩れしてくれません。
あとエスプレッソ用の超細引きみたいなのはできないです。
こういう人が買うべき
・強いこだわりを持ってコーヒーを淹れたい人(特にドリップコーヒー)
・静音性の高い電動ミルが欲しい人
・耐久性を求めている人
管理人所感
グラインド式はやはり業務用という印象が強いです。みるっこもそうですが、カリタのハイカットミルや、スーパーとかに置いてある自分で挽くタイプのミルもグラインド式です。
ドリップ系の喫茶店でメイン機として目にするものはグラインド式のが多い気がします。
値段以外に目立ってダメなところが見当たらないので買って後悔することは無いと思います。値崩れしないのでもしもの時は売ってしまえば結構回収できますし、リスクも実は無いですね。
カット式
ナイスカットミル・ナイスカットG・Next Gなどの話をします。
挽く仕組み
2枚の円盤の片方が回転し、中央から外側に向かって鋭い刃が掘られていて、それに豆が切られていくという仕組みです。
先程のグラインド式がすりつぶすのに対してこちらは切るイメージです。
同様に間隔を調整することで粒度を調整します。
メリット
円盤のサイズが大きめなものは粒度の揃い方は安定しています。挽きムラが少ないのがこの歯の特徴です。
ものによってはエスプレッソにも使えます。
断面が綺麗で組織の破壊も少なく、クリーンな味わいになりやすいです。
デメリット
グラインド式ほどではないですが若干値段が高いです。
熱を持ちやすいので回転数を落とす必要があり、低速にするためのギアのせいでうるさかったり、挽くのが遅かったりします。
例外としてパワーカットミルというミルは750Wという高出力で一瞬で挽くので熱とかあまり関係ないですが(参考までにNext Gは60W)。
こういう人が買うべき
・ムラの少ない粒度でコーヒーを淹れたい人
・数千円の電動ミルからのステップアップをしたい人
・カフェや喫茶店の雰囲気があるミルが欲しい人
管理人所感
僕が日常的に使っているミルはこのタイプです。
以前はナイスカットミルが結構安くて電動ミル入門機として勧めていたのですが、最近は高騰していて言いにくくなりました笑。
Next GやナイスカットGがカット式を台頭していくようになります。いずれもスタイリッシュでインテリア的にも強いなぁと思っています。
Next Gとみるっこのカタログスペック比較はこちらの記事で紹介していますので是非読んでみて下さい。
→家庭用最上位電動ミル比較!カリタ「NEXT G」 VS フジローヤル「みるっこDX」
グリッド式
挽く仕組み
中央に回転するカッターがあり、その周りを取り囲むメッシュを通り抜けたものから受け容器に落ちていくというなんとも変わった方式です。
粒度の調節ができず、粗挽きでネルドリップの為だけに作られています。
メリット
このミルを採用している喫茶店に一度だけ行って話を聞きつつ飲んできたので伝聞ですが。
粒度は非常に安定します。
微粉がまるで出ません。それに伴ってエグみや渋みが大幅に抑えられ、最高にクリーンな印象のコーヒーができます。
デメリット
何と言っても挽き目の調節が出来ないことです。
ネルドリップしか対応してない割に値段はそこそこ高いです。
やたら粗いのでコーヒー豆をかなり消費しそうです。
こういう人が買うべき
・ネルドリップを極めたい人
管理人所感
老舗、銀座ランブルがフジローヤルと一緒に開発したミルです。もうこれだけでアツいじゃないですか。
おそらくネルドリップの為の電動ミルとしてはほぼ最高峰です。これが一般向けに販売されていることに感動すら覚えます。
→ランブル・グリッドミル
ロールグラインド式
挽く仕組み
2つの円筒状の歯が水平に配置されており、間に入り込んだ豆をすりつぶす方式です。ローラーの間隔を変えることで粒度を調節できます。
これが2段、あるいは3段構成になっていて、段階に分けて挽いていきます。
本来は缶コーヒー等の大量に豆を挽く必要がある工場等で使用されていた手法です。
メリット
微粉が出ないのに加えて熱が発生することも防げます。
豆の細胞を潰すこと無く断面を露出させることが出来るようです。
雑味を取り除く必要があるネルドリップや水出しコーヒーなどの低温長時間抽出に威力を発揮します。
デメリット
高いです。205万円か220万円かで選べます。
井上製作所というところが制作していますが個人には多分売ってくれないんじゃないでしょうか。
管理人所感
井上製作所のコーヒーにかける情熱はホームページを見れば一発で伝わるので是非見ていただきたいです。
豆を粉にする機械のために電子顕微鏡を持ち出すのはもはや変態と言えると思います。好きです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。物を均一に粉砕するというのは工学的にもかなり奥が深いので、こだわりだすと沼な気がしてきますね。
みるっこやNext Gくらいまでなら値段に比例した満足度だと思っています。のでお財布に相談するのが一番です。
使わなくなるのが怖いという声もありますが、手挽きから電動ミルに切り替えるとコーヒーを淹れるのが楽になるので、逆にドハマりしますよ。
電動ミルについての記事はいくつか書いているので下に載っけときます。気になるやつあがあったら読んでみて下さい。
→家庭用最上位電動ミル比較!カリタ「NEXT G」 VS フジローヤル「みるっこDX」
→カリタ ナイスカットGが登場。ナイスカットミルと比較してみました。
→初めての電動ミルにナイスカットミルを勧める4つの理由。
ではでは〜