iPadで実現する爆速で論文を購読&管理する環境と方法[ver.2020春]
こんにちは,CoarsePaper管理人のほりー(@CoarsePaper)です.
2020/08/03追記
PaperpileのiOS版,iPad OS版が出ましたので記事を書きました.
→PaperpileのiOS版が遂にリリース!iPadでの使い心地レビュー
この記事で紹介するのは,
- PCで効率的に文献を調査
- 検索性を確保しつつ管理
- iPadで自動的に同期してオフラインでも読める
- iPadで手書きでアノテーションをつけられる
- アノテーション付きの論文PDFをどのデバイスからでも見れる
という方法です.
論文を読む必要があるものの,その探し方や読み方,管理方法,まとめ方などがわからないという人は結構多いと思います.
僕も最初はよくわからず,とりあえずGoogle Scholorで調査,その場で読んで放置したり,ダウンロードフォルダにポツポツ溜まっていくみたいな時期が結構ありました.
このような管理方法だと,読みたいと思った時や,いざ論文を書くときに引用したい論文を見つけるのに時間がかかってしまいますよね.
自分なりに工夫しながらこれまで論文を管理する方法として提案してきたのは以下の方法です.
iPadで実現する爆速で論文を購読&管理する環境と方法[ver.2018春]
iPadで実現する爆速で論文を購読&管理する環境と方法[ver.2018夏]
いずれもiPadを用いてアノテーションやまとめノートの作成を行うことを主軸に書いてきましたが,最近はまとめノート的な内容が頭に残るようになってきたので,基本は論文に直接手書きでアノテーションを加える感じで運用するようになりました.
ごく最近だとPaperShipがアップデートされたことで,MendeleyとPaperShipを使って論文管理ををしていました(ver.2018夏の方法ですね).
しかし,Mendeley上での不具合がちょくちょく感じられるのと,PDFが無い状態に気づけず読めなかったりと,微妙な不便さを感じられてきました.
そもそもあまり活発に開発が進んでおらず,進化が感じられない,OSのバージョンに対応するのが遅いなどの欠点があります.
もっと良い方法があるはずと思い調べていくうちに,いくつか候補が見つかりまして,今回はその中の一つを紹介します.
簡単に流れを説明すると以下の図のような感じ.
Paperpileで論文を管理するとGoogleDriveにアップロードされ,それをiPadのPDF Expertアプリと同期して購読,アノテーションをするというものです.
各要素についてセットアップ方法など説明していきます.
目次
Paperpileで論文を管理,調査する
特徴
Paperpileはデスクトップ版Google Chromeの拡張機能で,非常に強力な論文管理,調査ツールです.
ローカルからアップロードしたPDFのみならず,その場で論文を検索することができ,さらにダウンロード等もインターフェイス上で完結します.
Mendeley等からもインポートが可能で,システム移行も簡単です.
一般的な文献管理ソフト同様,登録された論文は著者やパブリッシュの日付,登録日等でソートが可能で,Abstractを含む検索も備えてあり十分に機能的.
月額課金制ですが月3$とかなので30日の無料トライアルで気に入ったら迷わず契約ですね.
導入
まず公式サイトにアクセスしてStart Paperpileしましょう.
Google のアカウントでサインインしたら,Chromeの拡張機能をインストールするよう言われるのでそのままインストールします.
論文の追加
この画面が基本のインターフェイスになっています.左上のAdd Paperからガンガン論文を突っ込んでいきます.
追加の方法はいくつかありますが,タイトルが分かっているときとかはサーチウィンドウでググっちゃえばそのまま追加も可能です.これは非常に手軽ですね.
それから,Google Chromeの拡張機能として,Google Scholarや Google検索で検索した画面上でPaperPileに論文を追加できます.
PDFのダウンロード
PaperPileを使う理由の一つがこのPDFのダウンロード機能.
項目の右下のAdd PDFでローカルからのアップロードやGoogle検索ができますが,「Auto-Download」がめちゃめちゃ強力です.
Auto-Downloadは各種論文のデータベースを検索してPDFをダウンロードできる機能です.
Paperpileを使う前,論文をダウンロードする手順は
Google(Scholar)で論文を探す→データベースにアクセス→PDFボタンを探してダウンロード→ダウンロードしたPDFをMendeleyとかに投げる
というステップでした.
あまり使わないデータベースだとダウンロードボタンがどこにあるか探す必要があったりするので,結構ストレスですよね.
それが
Google(Scholar)で論文を探す→Paperpileに登録→Auto-Download
という非常に簡略化されたステップになります.
しかも,Auto-Downloadは一括で行うことも可能.
ダウンロードしたファイルは全てGoogle Driveに保存されます.
スターを付けたものはStarフォルダにコピーされ,アクセスしやすい状態で保存が可能です.
その他
BibTeXで出力が可能とかラベル,フォルダで管理できるとかいろいろあるのですが,Paperpile特有の機能としてGoogleDocsと連携できるという機能があります.
僕自身,GoogleDocsでドラフトを書くことが多いのでこれは今後使っていくかもしれません.
PDF Expert で アノテーションおよび GoogleDrive の指定フォルダを自動同期
Google DriveにあるPDFを閲覧でき,シームレスに手書きでメモが加えられ,
かつ自動で指定したフォルダに含まれるファイルを同期してくれるアプリを探しました.
その中でもPDF ExpertはPDF閲覧,編集ソフトとして定番 of 定番な歴史あるソフトで,欲しい機能がくまなく揃っていました.
ちなみにDocumentsという,同じReaddle社がリリースしているアプリでも同様の機能が使えます.こちらのほうがマルチメディアな感じです.
セットアップ
アプリをインストールし,まずはGoogle Driveと連携します.サイドバーの接続先を追加から選択しましょう.
Paperpileのフォルダの中に入った状態で,右上の同期ボタンから自動同期設定をします.
こうすることで,Paperpileのフォルダ内のPDFに変更が生じたときや,新たにPDFが追加されたときにドライブ上とiPadとの間で同期が行われるようになります.
同期済みのファイルはオフラインでもアクセスできるため,電車の中やWi-Fiのないカフェなどでも,最新の状態の論文データベースにアクセスできるわけですね.
アノテーションを付ける
ここはお好きにという感じですが,僕は気になった点や,補足情報を書き込みながら読むようにしています.
アノテーションが付け終わったら特に何もしなくても勝手に同期されます.
GoodNotesなどのメモアプリに比べると機能性は劣りますが,簡単にメモするくらいならそこまで不便は感じませんでした.
PDFに新しいページを追加するなどの追加機能は有料版で利用でき,年間5,400円とのことです.
読みたい論文にiPadでアクセスする
進行形で読んでる論文がある場合はPC側であらかじめスターを付けておき,Starred Papersフォルダからアクセスするのが早いと思います.
スターがついていない論文はAll Papersフォルダから探すことになりますが,All Papersフォルダは著者の頭文字でフォルダが分かれているため,タイトルしか覚えていない場合は画面左上の検索機能を使う必要があります.
Paperpileのファイル名は「“著者” – “年” – “タイトル”」というフォーマットで命名されるので著者かタイトルを覚えておけば見つけられます.一方でアブストの検索はできないのでキーワードで探すのは難しいです.
因みに現状(2020/04/05)のバグなのかもしれませんが,マイファイルの同期フォルダを選ぶと検索可能なのにGoogle Driveから選ぶと検索できません.
スター付きのPDFはメインのAll PapersフォルダだけでなくStarred Papersフォルダにもありますが,どちらを編集しても双方に反映されます.
コピーが保存されているというか同じファイルに2つのパスが通っている状態です.
なのでスターを解除してもファイルそのものは消えずに保持されます.
まとめ
こんな感じで現状の論文管理,購読方法を紹介してみました.参考になったでしょうか.
何よりPaperpileが論文を調査,管理する手法として優れていて,さらにクラウドで同期,ローカルで見れてメモを反映させられるPDF Expertが組み合わさることでワークフローが完成しました.
Paperpileは非常に活発に開発が進んでおり,iOS版の準備も進められているようです.今後が楽しみで仕方ないですね.
なにか気になる点などあればTwitterまでどうぞ.
ではでは〜.
余談:最近このペーパーライクフィルムを使い始めました.紙にサインペンで書いてる感じの感覚が気に入っています.
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